目次
Ⅰ.シニア世代の新たな役割:メンター
メンターって聞いたことありますか?
メンターとは、経験や知識が豊富な人が、若いまたは経験の浅い人に対して、アドバイスや指導、支援を提供する人のことです。
教育者、指導者・・・というほど厳格でも権威的でもないですが、一緒に考える目線をもったサポーターという感じでしょうか。
メンターとしての役割は、個人や専門分野によって異なりますが、主な目的は次のようなものです:
役 割 | 目 的 |
1. アドバイス | 経験に基づくアドバイスや指導を提供し、メンティー(被指導者側)の目標達成を手助けする |
2. 経験の共有 | 経験や過去の失敗・成功を共有し、メンティーが同じ過ちを犯さずに学び、成長するのを助ける |
3. 自己啓発 | メンティーの自己啓発と自信を高め、新しいスキルを習得するための指針を提供する |
4. ネットワーク | メンティーを自身のヒューマンネットワークに紹介し、新しい機会やつながりを提供する |
前置きが長くなりましたが、なぜこんな話をするかというと、こんな理由です。
現在筆者が所属するバンドが20代1名と60代3名(筆者含む)のちょっと変則的な構成で、上下関係は全くないのですが、年齢構成上どうしてもメンター(60代)とメンティ(20代)の関係ができあがっているからなのです。
メンバーは、ボーカルのKちゃん(21歳:女性)、ギター&キーボードのPさん(64歳:男性)、ベースのTさん(66歳:男性)、ドラムのA(65歳:筆者男性)の4人です。
バンド結成のきっかけは、Pさんが経営する音楽スタジオにKちゃんがボーカル(ギター)レッスンに来ていて、そこでプロ志望のKちゃんが音楽経験豊かなPさんに色々教えてもらったりしているうちに、ソロではなくバンドを経験すべきという結論になり、早速バンドメンバーを探すことにしました。
そこでPさんが色々メンバーを当たった結果、比較的スケジュールに融通が利き、かつ現役で活動中のドラムのA(筆者)とベースのTさんが招集されて、結果的に20代と60代という年の離れた混成バンドが誕生しました。
ですから、このバンドは誕生の経緯そのものが『プロ志望のKちゃんにバンドを通して色々なことを学びつつ、ライブ経験を積むことでより幅広い音楽性とキャラクターを持たせたい』という、Pさんの親心(?)というべきか、『彼女を独り立ちできるミュージシャンに育てたい!』・・・という熱い思いが結実したものでした。
Ⅱ.世代間ギャップの存在
私たちのバンドは、世代間ギャップを乗り越えて音楽を楽しむことを目標に掲げています。
今回は、私たちのバンド活動についてお話ししたいと思います。
バンドを始めた当初は、やはり世代間ギャップを感じました。例えば、音楽の好みや知識が違うことです。
最初の頃はお互いが好きな音楽や曲の話をしても、双方が??の状態でした。それはそうです。
60代と20代、親子以上ともいえそうな40歳以上の年齢の開きって想像以上に大きくて、当然知っているだろう前提で話をしても・・・お互いに分からない、知らないの連続です。
しかし、それはある意味当然のことで想定内のことでした。
本当はKちゃんの親世代がやっと我々60代と話ができるか(通じるか)どうかの世代間だからです。ましてや、その子供世代となると知らなくて当然です。
例えば60代おやじ世代は、一番多感な10~20代をビートルズやディープ・パープル、レッド・ツェッペリンなどの洋楽ロックやMTVで流れていた洋楽ヒットの数々やJAZZとROCKの融合であるフュージョンにどっぷり浸かったレコード世代。いまだにそこから抜け出せずにいる世代。
一方、20代は、BTSやワンオクなどのK-POPやJ-POP、EDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)というまさに今風!の音楽が好きでした。もちろん音楽の主戦場はTVではなくSNSが中心!。
このように、音楽に対する思い入れや感性・スタイルの相違が、世代間の最も大きなギャップと言えそうです。
しかし、結論から言えば「世代間ギャップ」は大した問題ではありません!。
理由は、「世代間ギャップ」が必ずしも悪いことではないからです。
むしろ、それぞれの世代が持つ経験や知識、価値観や感性を共有することで、音楽の幅や深みを広げることが可能になるからです。
例えば、、、
・60代の親父たちは20代の若者たちに自分たちが育った時代の音楽や文化を教えることができます
・20代の若者たちは60代の親父たちに最新の音楽や技術を紹介することができます。
このように、互いに学び合うことで、音楽的な刺激やインスピレーションを得ることができます。
世代間ギャップに問題があるとすれば、それは「お互いの考え方や嗜好を受入れる寛容さと謙虚さ」をお互いが持てるかどうかだと思います。
Ⅲ.世代間ギャップの克服
世代間ギャップを感じたとしても、そのことを話し合いや音楽を創造する時間を共有することで克服しました。
スタジオで徹底的にアレンジに拘ったり、納得いくまでリハを繰り返したりは当然ですが、ある時は一緒にカラオケで各々が好きな曲を思い切り歌い合って双方のバックグラウンドを知る努力もしました。
そして60代は、20代に古い音楽の歴史や背景などを説明し、20代は、60代に新しい音楽のトレンドや魅力などを伝えました。
また、転調のやり方や楽譜やコード進行などの理論的な知識も分かち合いました。このようにして、お互いの音楽に対する理解や尊敬が深まりました。
世代間ギャップを乗り越えるためには、やはりコミュニケーションが重要です。
音楽を創造するという共通の目的を持ちながらも、それぞれの世代が抱える悩みや不安、期待や希望は異なるかもしれません。
そこで、練習後にざっくばらんなミーティングを開いて、バンドメンバー同士で意見交換したり、また、音楽以外の話題でも気軽に話せるような雰囲気づくりをすることで、仲間意識や信頼感を高めています。
Ⅳ.世代間ギャップの活用
私たちのバンドでは、世代間ギャップを克服するだけでなく、逆にそれを積極的に活用しています。
お互いのことをより理解するにつれて、お互いの持ち味を生かした選曲やアレンジが可能になり、そのことが一層バンドのオリジナリティを醸成し、バンドとしてのまとまり・団結を強くしていきました。
このようにして、世代間ギャップを音楽的な魅力に変えることを日々目指しています。
また、ライブ活動に関しても、世代間ギャップが良い意味でサプライズを生むことがあります。
今まで様々な年齢層の人々が集まるイベントや会場で演奏してきました。
そこでは、私たちの音楽が懐かしく感じる人もいれば、新鮮に感じる人もいました。また、私たちの音楽が親しみやすく感じる人もいれば、刺激的に感じる人もいました。
このようにして、世代間ギャップを観客とのコミュニケーションに活用することができました。
今はカバー曲を中心としていますが、バンドとして今後は60代の親父たちが得意とするジャンルと20代の若者たちが得意とするジャンルを組み合わせて、オリジナルなサウンドを目指したい。
世代間ギャップとは隠すのではなく、逆にアピールすることで、他のバンドと差別化することも可能です。
世代間ギャップを活かすためには、創造性が必要です。バンドメンバーの年齢差は、音楽的な個性や特徴を生み出すチャンスでもあります。
Ⅴ.まとめ ~シニア世代は未来を支えるメンターに~
私たちは『60代×20代』という特徴・個性を持ったバンドとして、これからも音楽活動を続けていきたいと思っています。
私たちは世代間ギャップを抱えていますが、それは『バンドの個性』であって障害・デメリットではありません。
シニア世代が若い世代と付き合うことは、社会全体にとって大きな価値があると言えます。
若者たちは未来を切り拓くポテンシャルと新しいアイデアを持っています。ただ、それをいち早く見つけて、どう開花させ活用するかが課題なのです。
シニア世代はその成長をサポートする重要な役割を果たすことができます。
シニア世代は、(良い意味でも悪い意味でも)豊富な経験と知識を若い世代に伝えることで、彼らの成長を後押しすることができます。
良きメンターとして、若い世代のロールモデルとなり、彼らの悩みや不安に寄り添うことができるからです。
近年、シニア世代の社会進出が盛んです。しかし、若い世代とうまく付き合えない・・・という声も聞かれます。
シニア世代と若い世代は、価値観や考え方が大きく異なるため、なかなか理解し合えないことがあります。
しかし、シニア世代が若い世代のメンターとして、彼らの成長を後押しすることで、両世代の理解を深めることができるのです。
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