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はじめに:年収300万円の再雇用を断った私の「損得勘定」
今回、私は年収300万円の再雇用を、自ら断った話をします。
「もったいない」「まだ働けるのに」—もちろん、そんな周りの声もたくさん聞きました。
しかし、私にとって『再雇用しない』という決断は、決して一時の感情に流されたものではありません。
これは、私自身が納得できる徹底的な「損得勘定」に基づいたものだったのです。
私が本当に恐れたのは、銀行口座の残高が減るという収入リスクよりも、お金では決して買えない、もっと大切なものを失うことだったからです。
このブログは、再雇用や職場の人間関係に悩む全ての方へ。
定年後の人生で、本当に守るべき価値について、私の経験と考え方を交えて正直にお話しします。
① 人間関係こそ最大の要因:心の平穏を脅かすもの
私が再雇用を断った最大の要因は、実は、お金の問題ではありません。
人間関係でした。
陰湿なパワハラ、不当な評価、上司の機嫌一つで全てがひっくり返るような理不尽な空気。
私は、再びあの閉鎖的な環境に足を踏み入れることに、心底、生理的な拒絶感を覚えました。
会社の椅子に座っている間にも、自分の心がどんどん削られていく感覚。
週末、疲れきって何もできない自分を目の当たりにするたび、このままではいけないと強く感じたのです。
もうこれ以上、自分の健康と精神をあの場所で安売りすることはできない――。
この揺るぎない決意こそが、私の最終的な決断の根底にありました。
私が何よりも守りたかったのは、他ならぬ心の平穏だったのです。
② 60歳からの5年間は質が違う:時間の希少性
そして、もうひとつ、私に大きな気づきを与えたことがあります。
それは「60歳を過ぎてからの5年間は、40代や50代のそれとはまるで違う」という厳然たる事実です。
体力は否応なく衰え、膝の痛み、高血圧、老眼など、これまで気にならなかった健康に関する不安が、日ごとに増していくのを実感します。
そして、何よりも私たちは、急に「残された時間」というカウントダウンを現実として感じ始めるのです。
それまで漠然としていた“時間の制約”を、初めて肌身で感じるようになる。
カレンダーをめくるたびに、「あとどれだけ自分の時間を、心から楽しめるだろうか」と考えてしまう。
だからこそ、会社での人間関係に苦しみながら、そのかけがえのない大切な時間を削り取られることは、どうしても避けたかった。
自分の人生の残り時間を、有意義に使いたいと強く願ったのです。
③ 私の「損得勘定」:人生の実質収入
もちろん、お金は生きていく上で大切です。
だから私は、一時の感情論ではなく、「再雇用しない」ことの損得勘定を、徹底的に自分なりに行いました。
再雇用で手に入る年収300万円。しかし、それによって「失うもの」も綿密に計算に入れたのです。
具体的には、
・一つ目に「時間コスト」:これは、往復4時間にも及ぶ通勤の負担や、自由な時間の喪失を意味します。
・二つ目に「健康リスク」:ストレスが継続することによる体調悪化、そして将来的な医療費の増加です。
・三つ目に「付き合いの出費」:避けられない飲み会や、望まない会社の付き合いにかかる費用です。
これらを総合的に見つめたとき、私は「これは『人生の実質収入』と呼ぶべきものだ」と確信しました。
単に年収300万円という金額だけを見るのではなく、再雇用によって失われるであろう自由な時間や、心身の健康、心の安らぎといった「逸失価値」を、具体的に計算に入れて考えるべきだと考えたのです。
例えば、通勤時間や職場のストレスで失われる、年間数百時間にも及ぶ自由時間。
もしこれを自分の好きな活動や家族との時間に充てられたら、その価値はどれほど大きいでしょうか?
朝の満員電車に揺られ、心身ともに疲弊した状態で家に帰ったとして、その夜、家族と心から笑顔で会話できるでしょうか?
ストレスによる体調悪化で、将来必要となるかもしれない医療費や、病院への通院にかかる時間、さらに会社の付き合いで発生する年間数万円(もっと?)の交際費。
これらは単なる支出ではなく、心と体の健康、そしてかけがえのない時間を失う代償なのです。
こうした目に見えない『損』を差し引いて考えたとき、再雇用の実質的なメリットは、かなり目減りすると感じたのです。
④ 家族と真の友人との時間:価値ある投資
私がこれから何よりも大切にしたいのは、かけがえのない家族、そして本当の友人・仲間との時間です。
会社員時代、多くの人間関係に悩み、苦しみました。
しかし、そんな中でも出会えた、ごく一握りの、今も変わらず親交がある友人・仲間が私を支え続けてくれました。
そして、長年連れ添った家族。彼らと穏やかに過ごす時間こそが、これからの私にとって最も価値のある「投資」だと気づいたのです。
ストレスだらけの職場に居続けることで、彼らとの貴重な時間を削ってしまうのは、人生最大の損失だと判断しました。
⑤ 決断の裏付け:理屈による理論武装
正直に言えば、再雇用の誘惑は非常に強烈でした。
「定収入がある安心感」「社会とのつながりが持てる」という感覚は、やはり大きいものです。
だからこそ、私は「再雇用をしない」という決断に対し、感情論ではない、理屈で自分自身を納得させる必要があったのです。
先ほどお話しした時間コスト、健康リスク、付き合いの出費…。
こうした損得勘定を徹底的に可視化し、自分なりに理論武装を試みました。
そして、その理論武装を終えたうえで、改めて確信したのです。
私が本当に守りたかったのは、お金ではなく、残された時間と、心の平穏。
そして、大切な人たちとのかけがえのない真のつながりだったと。
結び(行動の呼びかけとメッセージ)
だからこそ、私は再雇用を選びませんでした。
私が本当に守りたかったのは、お金よりも、残された時間と、何よりも心の平穏です。
そして、この決断は、決して一時の感情に任せたものではありません。
私自身の決断を納得させる徹底的な「損得勘定」に基づいたものでした。
人間関係に消耗しながら働く時間よりも、自由に、自分らしく生きられる時間の方が、何倍も価値があると確信したのです。
もしあなたが今、再雇用や職場のストレスで悩んでいるなら、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
あなたの「人生の実質収入」を計算したとき、本当に守るべきものは何ですか?
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