人間関係

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まだ残るパワハラの影

最近ニュースを見ていると、昔の自分を思い出すことがあります。

パワハラが世の中からなくならない。

20年近く前に私が経験した苦い記憶が、今もなお繰り返されているのだと思うと、やるせない気持ちになります。

「これだけコンプライアンスが叫ばれているのに、なぜ?」と思う人も多いでしょう。私もそうです。

法整備が進み、人権意識も向上しているはずなのに、報道されるパワハラ事案が後を絶たない。

結局、20年前と何も変わっていないのではないかとさえ思ってしまいます。

例えば、最近話題になったある某知事のパワハラ疑惑。

真偽はまだ解明されていないようですが、部下を精神的に追い詰め、限界に追い込む行為が露呈しました。

これを見るたびに、私がかつて経験した苦い思い出がよみがえります。

 

私のパワハラ体験とその教訓

私がパワハラを経験したのは、40代半ばでの本社異動がきっかけでした。

入社以来、出向の形で関連子会社で23年間働いていた私は、突然本社への転勤を告げられました。

本社というと栄転に聞こえますが、実際は赤字子会社の人員整理の一環でした。

 

45歳の中年オヤジにとって、初めての本社勤務は出勤初日から驚きの連続でした。

それまでの職場では、適度に上下関係があっても、尊重し合う雰囲気がありました。

しかし、本社では違いました。

上司や先輩社員はまるで「俺がこの会社を回している」というような態度。

彼らにとっては、赤字子会社からの転勤者なんて所詮「格下」扱いだったんです。

 

初めのうちは「まあ、慣れれば大丈夫だろう」と軽く考えていましたが、次第にその環境に耐えられなくなりました。

 

会議では上司が威圧的な態度を取り、私の意見はまともに聞かれず、必要以上に叱責される日々。

さすがに肉体的な苦痛はなかったですが、精神的苦痛を伴う「言葉の暴力」は日常茶飯事!。

 

★降り注ぐ今なら一発アウトの言葉の暴力の数々

・子会社は君程度の人間でも勤まるんだ・・・どうりで赤字なわけだ

・企画部門も経験していたらしいが、どうみてもセンスは皆無だな

・仕事ができないなら誰よりも早く出社してくるのが当然だろ

・どこの馬の骨かも分からない君が本社に拾ってもらえてラッキーだと思え

・会社のことが全く理解できていない。もぐり入社か?  ・・・etc.

耐えることしかない思い、なんとかやり過ごそうとしていましたが、職場内では完全に孤立した状態。

精神的にはかなり追い詰められていました。

そんな時、ふと「自分が悪いのかもしれない」と思い始めたのです。

パワハラを受けていると、なぜか自分に非があるように感じてしまう ことがあります。

それこそがパワハラの恐ろしさです。

 

コンプライアンス意識の高まりと変化の兆し

こんな状況で、よく自分が壊れなかったな!と今でも思うことがあります。

転勤して2年経ったころ、時代の流れとともに、会社内でもコンプライアンスの意識が徐々に高まり始めました。

これにより、職場の雰囲気が少しずつ変わり始めました。

本社でもハラスメントに対する社内規定や専門部署が設置されました。

そして、パワハラ?上司の態度が一変、あからさまなパワハラは嘘のようになくなりました!!。

正直、この”手の平返し”には「呆れてものが言えない!」気持ちでしたが、なにはともあれ、こうして私は命拾いしたのです。

この時期、私自身も職場環境にも慣れ、ようやく少しずつ周囲から認められるようになっていきました。

転勤から2年近くの時間がかかりましたが、孤立感が和らぎ、職場での人間関係も少しづつですが改善されていきました。

 

振り返ってみると、私が当時学んだのは「我慢することが全てではない」ということでした。

自分が耐えきれない状況にいるのなら、勇気を持って一歩引いてみることも大切です。

なぜパワハラはなくならないのか?

では、なぜ今でもパワハラがなくならないのでしょうか?

一つの理由は、パワハラの加害者に共通する心理的要因にあると思います。

特に、権力を持った人たちの支配欲権力欲です。

彼らは自分の地位を守るため、あるいはさらに権力を拡大するために、他人を踏みつけにしてでも自分の欲望を満たそうとします。決して政治の世界だけではないんですね。

 

コンプライアンスが企業文化として広まりつつある現在でも、こうした「欲望」に打ち勝つことは難しいのです。

ある意味、パワハラの根底には人間の本質的な性質が隠れているのかもしれません。

自分の欲望を満たすためには、人権やコンプライアンスなどは後回しにしてしまう。

それが、一定のタイプの人間には根強く残っているように感じます。

 

たとえば、ニュースで報道されるパワハラの加害者の多くが、上司や管理職に就いていることが多いですよね。

彼らは会社内での権力を手にし、それを守るために時には理不尽な方法を取ってしまう。

悲しいことに、どれだけの時間が経っても、この欲望がある限り、パワハラは完全には消えないのかもしれません。

 

それでも、社会は進歩している

ただ、全てが暗いままではありません。実際には社会も少しずつ変わりつつあります。

私自身、かつてのパワハラ体験から徐々に環境が改善される様子を見てきました。

例えば、当時の私の会社でも、ようやくパワハラ対策が本格化しました。

上司たちの態度も、少しずつですが変わってきました。

コンプライアンス意識の向上とともに、管理職研修などが導入され、パワハラ行為に対する罰則も厳格化されたのです。

時間はかかったものの、少しずつ職場の空気が良くなっていったのを覚えています。

このように、社会全体としてもパワハラに対する取り組みは進んでいます。

もちろん、まだ問題は多く残されていますが、一歩ずつでも前に進んでいることを実感できるのは、私にとって大きな励みとなりました。

とはいえ、完全な職場環境なんて存在しません。

パワハラがなくなったとしても、職場には必ず何らかのストレスや問題がついて回ります。

パワハラは決して軽い問題ではありませんが、完全に消すことが難しい問題であるからこそ、私たちはそれをうまく避けたり、対処する方法を学ぶことが大切です。

社会の進歩を信じつつ、自分自身の心の健康を守りながら、うまく乗り越えていければと思います。

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